ビーチには相変わらず人がたくさん。チビッコもいれば、カップルもいる。勉強してる奴もいれば、逆立ちの練習してる奴もいる。中には背広着てはしゃいでるオッサンの集団も、靴脱いじゃって童心に帰ってる。波を追いかけて奥に行っては、戻って来た波から逃げるようにキャッキャしてた。まるで髭が生えた女子高生みたいだった。それに足首まで水に入れて、波が引くごとに足が砂に沈んでいく感覚ってスゲェ気持ちいいもんね・・・みんな、これがやりたくて集まってるに違いないヾ( ゚Д゚)ノ゛
ここの波は微妙に高い。だから、泳ぐのは禁止されていて、いつも婦人警官が見張ってる。少しでも奥まで進んだ奴を見つけると、長い木刀で背中をチョイチョイってされる。シカトされると警察のオネェチャンたちは革靴のままで海に入る。
でも、今日は誰も見張ってなかった。
俺がベンガル湾に浮かぶタンカーの数をカウントしてた時、目の前で黄昏ていたオッサンが服を脱ぎだした。上だけかと思ったら、全部いっちゃった。フルチン一歩手前で静かに前進。ひざ下30cmまで水がきたところで、一呼吸置いて正座。その姿を見る限り、沐浴と思われる。ひたすら何か呟いてたので、iPhone渡してみたかった。
「沐浴なう」
・・・タミル人なんてその程度 笑
ツィートしてる最中、ちょうどその時デッカイ波が来て、オッサンを正面から襲った。
一気に押し込まれたオッサンの足は不動、そのまま上半身だけブワッてなり、そのまま後ろにひとひねり
でんぐり返っちゃった訳よwww
ブワァァァ
咄嗟の出来事にオッサンが「マジかよ・・・」みたい泣き顔が、もうスゲェ面白くて、ひとり爆笑してしまったよ。周りは見て見ぬフリしてたけど、思わず笑っちった。
それでもめげないオッサンは気を取り直してもう一回。今回はさっきよりも更に奥に進んで、そして正座。
俺は知ってたんだ、はるか前方にビッグウェーブが迫ってること。
俺は緊張した。
この大波を顔で受けたら、オッサンはでんぐり返しだけでは済まない。
勝負だった。
オッサンvsビッグウェーブ
徐々に近づく大波、それでも顔の前で手を合わせたまま祈りを続けるオッサンは静かだった。
「恥ずかしかったなう」
・・・タミル人だってこんなもの 笑
波が仕掛けた瞬間、そこには子供がすっぽり隠れるくらいのチューブが作られた。サーファーなら歓喜、身動きが取れないオッサンなら涙目になるような立派なビッグウェーブ。
「奥義なう!!」
土下座の格好から手を目いっぱい伸ばして、チューブの懐に入った。一瞬にしてその体は海に消えていった。スゴい、スゴ過ぎるインド人!!
次の瞬間、アワアワしながらドエライ格好で波に打ち上げられてた。うつ伏せになったまま動かない。その光景をジッと見つめる俺。突然、カッと顔を上げたオッサンと目が合った。そ、逸らせない・・・
見てんじゃねぇ
そっちが見てんだろうが
逸らせよ
お前が逸らせ
笑ったろ
笑ってねぇ
いや、お前は笑ってた
だから、笑ってねぇって
・・・
・・・まだ見てるよ
結局、負けた俺。
目を逸らしてしまったよorz
その後、何事もなかったようにオッサンは海に対して何かツィート、一礼して服を着た。ビショビショだった。俺には目もくれずに立ち去っていった。
「日本人に勝ったなう」
スゲスゲスゲスゲェェェェ!!
何ですか、この高揚感は?
俺は神と対話したのかもしれない。
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